
インドは濃ゆい国である。
何かと言えば、人間関係の話。
知らない人にはパチったりだましたりと油断ならない一方で
友達になると、信じられないくらい大事にしてくれる。
だから一度いい輪に加わると、いい人からいい人へと連鎖していく。
逆に悪い輪にハマると、どこまでいってもだまされてひどい目に遭う。
どんな人の輪に入るかでインドの印象は一変するんじゃなかろうか。
で、ワシたちの旅はどうだったかというと、
マヌー・マハラジ
この人の輪によってもたらされたと言ってもいい。
マヌーはよこサーの古い友人で、
ホテルで働いたりガイドをしたりする、観光のプロ。
ワシたちはジャイサルメールという街を拠点に
旅の半分を彼とともに過ごすことになった。
ヨガをやるわけでもなく、ガンガーにつかるわけでもなく、
ましてやサイババのアシュラム(道場)で修行したわけでもないのに
おそろしいほどスピネタ満載の旅になってしまったかといえば、
間違いなくこの男のせいだと断言できる。
彼はブラフマーだったのだ。
ブラフマーとはカーストの最高位にあたる、日本でいうところのバラモン。
バラモンというと僧侶とか司祭にあたる階級なわけで、
くわしくはわからんけどたぶんものすごく尊敬されてて
お寺とかで修行したり人助けをしたりしているセイクリッドな御方なんだから
恋になど落ちても苦しくなるだけだわ、心を許しちゃだめよトンボ!
なんてな妄想を含みつつイメージしていたんだが。
立派な太鼓腹を釣り人のようなチョッキで包み(間違ってもベスト、ではない)
ニコニコしながらげっぷとオナラばっかりしながら
弾丸トークをかましてる、このひげ面のオヤッサンがなんでブラフマーなのさ!
ていうかブラフマーって観光ガイドとかするわけ?
嘘よ嘘!アタイのブラ様はトイレだって行かないんだからあ〜〜!!
…なんて叫んでみてもむなしい。現実はいつだってそんなものだ。
まあ彼がワシの期待に応えたかどうかは置いといて、
いつでもニコニコ笑顔でお世話をしてくれるマヌーは
ワシの人生「いい人ベスト10」にランクイン確実のナイスガイ。
そして地元の村ではブラ様としてお寺の管理をしたり
プージャと呼ばれる礼拝を司ったりするらしい。
ああブラ様が釣り人チョッキ…おなら…鼻くそほじってる…ああ
(いいかげん妄想から離れろ自分)
とにかくせっかくブラフマーと一緒に旅してるんだからと、
一度「幽霊っていると思う?」と質問してみた。
「ヒンドゥーは来世を信じているから、
死ねばネクストライフが待っているんだ。
だから幽霊という概念はない」
「じゃあ地縛霊とかいないんだ」
「いや、しかしライフが○×▽☆&$%※〒◎…!♂#@……」
その後1時間くらい難しい話が続いたので
「ま、事故なんかで寿命より早く死んだ人が
幽霊になるってことに無理やりしちゃいましょう」
とよこサーと勝手に決めることにした。
ブラ様にスピネタをふると大変な目に遭う、
とはインドで学んだことのひとつである。
とにかくこの男の案内なのだから、どんな旅になるかは推して知るべし。
実はねえ、ホントはねえ〜
ワシは砂漠でお馬さんに乗ってサファリをするために来たのさあ〜。
聞いてますかあ〜もしもしマヌーさんよう、
ワシが見たいのはホトケさんじゃなくてオウマさんなんですけどお〜
ブラ様に俗人の声を聞く耳は持ち合わせてないらしい。
そしてワシらはみごとにスピの輪に入り
スピからスピへと旅することになる。
ブラ様おそるべし…。
PS:
まちがえて一度、中途半端に更新してしまいました。失敬。
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