というわけで、前回の続き。
東京・青山のどまんなかで、初めての写経体験でございます。
時間がくると、スタッフの誘導でカフェの地下へ。
ドアを開けると、公民館のような殺風景な部屋に
これまた殺風景な横長机と、ざぶとんが並べてある。
お坊さんに何やら粉末をひとつまみ渡され
「これを両手首にすりつけてください」
線香のような、漢方のような香りをスリスリしつつ、着座。
参加者はざっと30人ほど。全員みごとに女子。
年は20〜40代あたり、渋谷あたりを歩いてそうな子もチラホラ。
きょろきょろ見回していると、黒い袈裟を着た坊さんが
中央の舞台に鎮座し、話し始めた。
「
ギラギラしてない市川海老蔵」といった雰囲気の、
なかなかのイケメン坊主である。
「どうぞ、正座はくずしてかまいませんよ。
今からがんばると後がつらくなりますからねえ。
私も坊主といってもユルいほうなので
気にせずくずしちゃってくださいねえ〜」
さすがエビ様、女子の扱いを心得ておられる。
緊張気味だった参加者たちも、ホッとして一斉に足をくずす。
「本日みなさまに書いていただくのは
百字偈(ひゃくじのげ)と呼ばれるものです」
文字通り、100字の漢字が整然と並んでいる。
これを筆ペンでなぞればOKというわけだ。
なんだ、意外とカンタンそうじゃないか
と思っていると、エビ様がひとこと。
「最後の一行に願い事を1つ書いてください。
家内安全でも、具体的な願いでもかまいません、
今かなえたいことを1つだけ書いてくださいね」
なぬ!
写経って自己鍛錬の場じゃないのか?
写経に願い事って、そんな不埒なっ!!
と思いつつ、いざ願い事を書けと言われると
修行のことはあっけなくふっとんで
(何願おう、何願おう…)と頭の中は煩悩で満タンに。
いやいやいかん、オノレは何をしに来たのだ!
邪念をはらい、一心に筆を進ませる。
しかし、どうにもお手本通りに文字が書けない。
きれいに書こう書こうとすればするほど
気持ちに反して、ありえない方向に筆がはみ出していくのだ。
…しまった。
自分があまのじゃくだということを、すっかり忘れていた。
なぞりたくねえ
何が何でも、なぞりたくねえ!!ひかれたレールの上を走ることへの嫌悪感。
誰かの真似をすることへの罪悪感。この支配からの卒業。
そんな無意識の感情があふれてきて
どうしてもお手本どおりに手が動いてくれないのだ。
なぞりたくねえ、しかし字きたねえな、ああ願いが1つにしぼれねえ、おっとこの字はうまく書けた、漢字はやっぱハネだね、願い事どうしよう、ああしかしなぞりたくねえ…
いろんな気持ちがぐるぐる回って
気づけば世界もぐるぐる回って、吐き気に襲われていた。
うげえ〜〜
なんだこれ、超気持ちわりぃんですけどお〜〜
助けてエビ様!と念を送ってみたがエビ様、完全無視。
…ちょっと待てよ、そういえば何度もチャンスはあったのに
ワシはなぜ今まで写経をしなかったかといえば……
『あ、写経やってる〜。救われるかも〜』
とそこいらじゅうの霊がわんさかつめかけてくるって、よしもとばななが言ってたじゃーん。
気軽に写経しちゃダメって言ってたじゃーん。
しかも青山。ウジャウジャいそうじゃーん。
気づいた時には時すでに遅し、
リバース寸前なのをグッとおさえ
(めっめっ、なんかわからんけどアッチ行け!!)
とひたすら祈りつつ、乱れた字で100字達成。
肝心の願い事を書く時には何もかもどーでもよくなって
「いつか、ちゃぱらに会えますように」と書き走ったのでありました。。。
「写経って癒される〜♪」とかいったい誰が言ったんでしょう。
写経、二度とやんねえ。
ちなみに、ちゃぱらをご存じない方は
こちら
posted by トンボ2世 at 14:09|
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とんスピ・アクション編
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